雄猫は尿道が細く、膀胱にできた砂(尿石)が詰まることがあります。特に雄猫のペニスの先は細いため、ペニスの先端で詰まることが多いです。砂が詰まってしまうと排尿できなくなり、尿毒症・膀胱破裂で亡くなる危険性があります。通常は尿結石用の食事でコントロールできますが、食事療法ができない子、尿閉の再発を繰り返す子、肥満や炎症で尿道が狭くなってしまった子には手術が必要です。その手術が会陰尿道ろう形成術です。この手術は一言で言うと、ペニスを切除して女性器のように形成することです。ペニスを切除することで先端の狭窄がなくなり格段に尿の出がよくなり、詰まる危険性は軽減します。当院では会陰部尿道ろう形成術の術式の中でも難易度の高い、筒状包皮粘膜縫合法(図2)を採用しています。従来の方法だと、ペニスを切断し、切断した部分の尿道粘膜と皮膚を縫い付けています(図1)。しかし、筒状包皮粘膜縫合法は包皮を温存し、尿道粘膜と包皮をつなぎ合わせる方法です。これにより感染のリスク、縫合不全のリスク、再手術のリスク、長期尿道カテーテルの設置時間が軽減します。この術式の唯一の欠点は尿がでるところが包皮で隠れて観察できないことです。しかし、実際に尿がでているかを観察できれば問題ありません。もし会陰尿道ろう形成術に関してご相談があれば、気軽にご相談ください。
(図1)通常の会陰尿道ろう形成術後の写真
ペニスおよび包皮を切除して、尿道粘膜と周りの皮膚を縫合する。
※『イラストを読む!犬と猫の臨床外科』より抜粋、顧問獣医師渡邉先生の許可済、転載禁止
(図2)筒状包皮粘膜縫合法の術後写真
※『イラストを読む!犬と猫の臨床外科』より抜粋、顧問獣医師渡邉先生の許可済、転載禁止